WEB系・自社開発企業
WEB系・自社開発企業とは
WEB系・自社開発企業とは、自社でWebサービスやアプリケーションを企画・開発・運営する企業を指す。受託開発ではなく、自社プロダクトの開発が主たる事業であることが特徴である。
代表的な企業としては、メルカリ、サイバーエージェント、DeNA、楽天、LINE(現LINEヤフー)、リクルート、マネーフォワード、freee、SmartHRなどが挙げられる。また、近年はスタートアップ企業も増加しており、選択肢は非常に幅広い。
企業タイプ別の特徴
WEB系・自社開発企業は、規模やステージによって特徴が大きく異なる。
メガベンチャー
時価総額1,000億円以上、従業員数1,000人以上の大規模IT企業。メルカリ、サイバーエージェント、DeNA、楽天、LINEヤフーなどが該当する。
特徴:
- 安定した経営基盤と福利厚生
- 大規模なシステムやトラフィックを経験できる
- 社内での異動やキャリアパスの選択肢が豊富
- 採用競争が激しく、入社難易度が高い
ミドルベンチャー
従業員数100〜1,000人程度の成長企業。マネーフォワード、freee、SmartHR、Sansan、ラクスルなどが該当する。
特徴:
- 急成長フェーズにあり、事業拡大に貢献できる
- 裁量が大きく、幅広い経験が積める
- 組織が成熟途上で、カオスな部分もある
- ストックオプションなど、成長に伴う報酬が期待できることも
スタートアップ
従業員数10〜100人程度の創業間もない企業。資金調達を行いながら急成長を目指すフェーズにある。
特徴:
- 最大限の裁量と責任
- 事業の方向性に直接影響を与えられる
- 失敗すれば会社ごとなくなるリスク
- 給与よりもストックオプションに期待するケースが多い
中小自社開発企業
特定のニッチ市場でサービスを提供する小規模な自社開発企業。必ずしも急成長を目指していないが、安定した事業を営んでいる。
特徴:
- 穏やかな成長と安定した働き方
- 少人数チームで全体を見渡せる
- 技術的なチャレンジは限定的なことも
- ワークライフバランスを重視できることが多い
WEB系・自社開発のメリット
1. モダンな技術スタック
WEB系企業では、技術選択の自由度が高く、新しい技術を積極的に採用する傾向がある。React、Vue.js、TypeScript、Go、Rust、Kubernetes、Terraformなど、モダンな技術に触れる機会が多い。
これは、自社プロダクトを持つがゆえに、技術的負債の削減や開発効率の向上が直接的なビジネス価値に繋がるためである。
2. プロダクト志向の開発
自分が書いたコードが実際のユーザーに届き、ユーザーからのフィードバックを直接受けられる。プロダクトの成長を実感でき、自分の仕事の意義を感じやすい環境である。
A/Bテストやデータ分析に基づいた意思決定、ユーザーインタビューなど、プロダクト開発の全体像を理解できる。
3. エンジニア文化
多くのWEB系企業では、エンジニアを重視する文化が根付いている。コードレビュー、ペアプログラミング、技術的な議論、勉強会、OSS活動への理解など、技術者として成長できる環境が整っていることが多い。
技術ブログの執筆やカンファレンスでの登壇を推奨・支援する企業も多い。
4. 柔軟な働き方
リモートワーク、フレックスタイム、裁量労働制など、柔軟な働き方を導入している企業が多い。特にコロナ禍以降、フルリモートを維持している企業も少なくない。
服装も自由なことが多く、スーツを着る機会はほとんどない。
5. 成果に基づく評価
年功序列よりも成果に基づく評価を行う企業が多い。若くても実力があれば昇進・昇給できる可能性があり、キャリアアップのスピードが速い。
WEB系・自社開発のデメリット
1. 企業による差が大きい
「WEB系」と一括りにしても、企業によって技術レベル、文化、待遇は大きく異なる。華やかなイメージとは裏腹に、技術的に停滞していたり、長時間労働が常態化している企業も存在する。
企業研究が非常に重要であり、口コミサイトや社員の発信などを確認することをお勧めする。
2. 競争の激しさ
人気企業への入社競争は激しく、特にメガベンチャーやミドルベンチャーの上位企業では、高いスキルレベルが求められる。未経験からの入社は難しく、ポートフォリオや実務経験が問われる。
入社後も、周囲のレベルが高く、継続的な学習が求められる。
3. 事業リスク
特にスタートアップでは、事業が軌道に乗らず倒産するリスクがある。また、資金調達に失敗したり、競合に敗れたりすることで、突然のリストラや事業縮小が発生することもある。
ミドルベンチャーでも、特定のプロダクトに依存している場合、そのプロダクトの失敗が会社全体に影響することがある。
4. 上流工程の経験が限定的
自社開発では、システムの要件が社内で決まるため、顧客との折衝や大規模な要件定義の経験は積みにくい。将来的にITコンサルタントやプロジェクトマネージャーを目指す場合、この点は弱みになる可能性がある。
5. 業界知識の偏り
自社サービスに特化することで、特定ドメイン(EC、広告、金融など)の知識は深まるが、他業界のシステムに関する知識は身につきにくい。キャリアチェンジ時に選択肢が狭まる可能性がある。
WEB系・自社開発に向いている人
以下のような志向を持つ人は、WEB系・自社開発企業での活躍が期待できる。
技術が好きで、自ら学び続けられる
新しい技術が次々と登場するWEB業界では、継続的な学習が欠かせない。技術的な好奇心を持ち、自ら情報収集し、試してみることが苦にならない人に向いている。
プロダクトを作ることにやりがいを感じる
ユーザーに価値を届けることに喜びを感じ、自分が作ったものが使われることにモチベーションを感じる人に向いている。
変化を楽しめる
WEB系企業は変化が速い。事業の方向性が変わったり、チーム構成が変わったり、使用技術が変わったりすることは日常茶飯事である。変化を苦痛ではなくチャンスと捉えられる人に向いている。
自律的に働ける
指示待ちではなく、自ら課題を見つけて解決していく姿勢が求められる。裁量が大きい分、自己管理能力も必要である。
WEB系・自社開発に向いていない人
一方、以下のような志向を持つ人は、WEB系・自社開発企業での満足度が低くなる可能性がある。
安定性を最優先する
スタートアップやミドルベンチャーには、事業リスクが伴う。長期的な雇用安定を最優先する場合は、大企業やSIerの方が適している。
明確な指示のもとで働きたい
裁量が大きい分、「何をすべきか」を自分で考える必要がある。明確なタスクを与えられて着実にこなしたい人には合わないことがある。
大規模プロジェクトに携わりたい
数百人規模の開発プロジェクトを経験したい場合は、SIerの方が機会が多い。WEB系では、小〜中規模のチームでの開発が中心となる。
求められるスキル
WEB系・自社開発企業で求められるスキルは、企業やポジションによって異なるが、一般的に以下のようなものが重視される。
技術スキル
- プログラミング言語:TypeScript、Go、Python、Ruby、Javaなど
- フロントエンド:React、Vue.js、Next.jsなど
- バックエンド:REST API、GraphQL、マイクロサービス
- インフラ:AWS、GCP、Azure、Docker、Kubernetes
- データベース:PostgreSQL、MySQL、MongoDB、Redis
ソフトスキル
- コミュニケーション:チーム開発での協調、技術的な議論
- 問題解決能力:曖昧な要件から解決策を導く力
- 自走力:指示を待たずに自ら動く姿勢
- 学習能力:新しい技術をキャッチアップする力
ポートフォリオ
未経験や経験が浅い場合、個人開発のプロダクトやOSS貢献、技術ブログなどが評価される。GitHubのアクティビティや、実際に動くプロダクトを見せることで、スキルを証明できる。
キャリアパス
WEB系・自社開発企業でのキャリアパスは、大きく分けて以下のパターンがある。
技術を極める道
- エンジニア → シニアエンジニア → テックリード → アーキテクト/スタッフエンジニア
- 特定技術の専門家(インフラ、セキュリティ、機械学習など)
マネジメントの道
- エンジニア → テックリード → エンジニアリングマネージャー → VPoE/CTO
プロダクトの道
- エンジニア → プロダクトマネージャー → プロダクト責任者
起業・独立
- エンジニア → CTO/共同創業者として起業
- フリーランスとして独立
WEB系企業を選ぶ際のチェックポイント
WEB系・自社開発企業への就職・転職を検討する際は、以下の点を確認することをお勧めする。
技術スタック
使用している技術が自分のスキルや興味に合っているか。また、技術的な停滞が見られないか。
事業の健全性
売上、利益、資金調達状況など、事業が健全に継続できる状態かを確認する。特にスタートアップでは重要。
エンジニア組織
エンジニアの人数、構成、入れ替わりの頻度。技術ブログやOSS活動の状況。
開発プロセス
アジャイル開発の実践度合い、コードレビューの有無、CI/CDの整備状況など。
働き方
リモートワークの可否、フレックスタイムの有無、残業時間の実態。
評価制度
成果がどのように評価され、報酬に反映されるか。評価の透明性。
まとめ
WEB系・自社開発企業は、モダンな技術、プロダクト志向の開発、柔軟な働き方など、多くの魅力を持つ選択肢である。一方で、企業による差が大きく、入社競争も激しいため、慎重な企業選びと継続的なスキルアップが求められる。
技術への情熱を持ち、自ら学び続けられる人にとっては、やりがいのある環境である。自分のキャリア目標やライフスタイルに合った企業を見つけることが、成功の鍵となる。