消費税を廃止すると?
「消費税を廃止したら、国の借金が増えて財政破綻するのではないか?」 多くの人が抱くこの懸念について、実際のデータに基づいたシミュレーションで検証します。
「消費税なし」でも借金はアメリカの半分以下
もし、2001年の時点で消費税を廃止し、その減収分をすべて「赤字国債」の発行で賄っていたら、日本の借金はどうなっていたでしょうか?
財務省およびIMF(国際通貨基金)のデータを基に試算した結果が以下のグラフです。
政府総債務残高の増加率推移(2001年=100とした場合)
| 年 | 🇯🇵 日本(現状) | 🇺🇸 アメリカ | 🟢 日本(消費税廃止シナリオ) |
|---|---|---|---|
| 2001 | 100% | 100% | 114% |
| 2005 | 117% | 177% | 146% |
| 2010 | 135% | 300% | 168% |
| 2015 | 159% | 415% | 205% |
| 2020 | 181% | 551% | 239% |
| 2024 | 187% | 612% | 257% |
※出典:財務省「債務管理リポート」、IMF「World Economic Outlook (2025年10月版)」、国税庁「税の統計」
データから読み解く事実
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アメリカの驚異的な借金増加: アメリカはこの24年間で、政府債務を 約6.1倍(612%) にまで増やしています。それでも破綻するどころか、世界最強の経済大国として成長を続けています。
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日本の抑制的な財政: 一方、日本は増税と歳出削減を続け、政府債務の増加を 約1.9倍(187%) に抑え込んでいます。しかし、その代償として経済成長は止まり、国民の実質賃金は下がり続けました。
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消費税を廃止していたら?: もし2001年から消費税を全廃し、その分をすべて借金で穴埋めしていたとしても、2024年時点の債務増加率は 約2.6倍(257%) に留まります。 これは、 アメリカ(612%)の半分以下の水準 です。
つまり、 「消費税を廃止しても、政府債務の増加ペースはアメリカよりも遥かに緩やかである」 ということがシミュレーションから明らかになります。
廃止による経済効果
消費税を廃止することのメリットは、単に「税金を払わなくて済む」だけではありません。 マクロ経済的に以下の巨大な効果が期待できます。
1. 家計への直接給付効果(約25兆円)
現在の消費税収(還付金控除後)は約25兆円です(令和6年度)。消費税廃止は、この25兆円がそのまま家計や企業の手に残ることを意味します。 国民1人あたりに換算すると、 年間約20万円の手取り増加 と同じ効果があります。
2. 物価の押し下げ効果
消費税が廃止されれば、商品価格に含まれる税コストがなくなり、物価を押し下げる強い圧力が働きます。 競争原理により多くの商品で値下げが期待でき、これは 実質賃金が上昇する のと同じ効果をもたらします。長年苦しんできた「物価高・低賃金」の状況を改善する大きなきっかけとなります。
3. 事務コストの消滅
インボイス制度の導入などで、中小企業の事務負担は限界に達しています。消費税がなくなれば、これらの膨大な事務作業やシステム改修コストが社会から消滅し、生産性の高い業務にリソースを回せるようになります。
4. 中小企業の資金繰り改善
消費税は赤字決算であっても納税義務が発生する過酷な税制です。実際、国税庁「令和4年度租税滞納状況」によれば、新規発生滞納額の55.7%を消費税が占めています。 廃止により、中小企業の資金繰りが劇的に改善し、黒字倒産などのリスクが減少します。浮いた資金は設備投資や従業員の賃上げ原資として活用できるようになります。
5. 正規雇用の促進と人手不足の解消
現行の消費税制度では、正社員の人件費は「不課税」で仕入税額控除できませんが、外注費や派遣費は「課税仕入れ」として控除対象になります。そのため、企業には正社員を減らして非正規雇用や外注に切り替える強いインセンティブ(節税効果)が働いてきました。 消費税がなくなればこの歪みが解消され、企業は再び正社員雇用や内製化へと舵を切ることができます。雇用の安定は人材の定着を生み、深刻な人手不足の解消にも繋がります。
結論
「国の借金」を過度に恐れるあまり、私たちは消費税という「経済のブレーキ」を強く踏み続けてきました。 しかし、アメリカとの比較データは、 日本にはブレーキを外す(減税する)財政的な余裕が十分にある ことを示しています。
失われた30年を取り戻すために必要なのは、痛みを伴う増税ではなく、勇気ある減税(消費税廃止)なのです。